パレット通信06 |
今月は人物画。女性のモデルさんをかこんで皆さん真剣なまなざしで制作していました。
人物というのは毎日いやというほど見ているのに描いてみるととても難しいですね。
「今月は人物です。」といわれてもモデルさんを目の前にどう描いていいのか悩んでしまいます。そういう時はいきなり油絵を描き始めないでしばらくクロッキーをしたりデッサンをするのがよいと思います。モデルさんがいる時間はかぎられているので、いなくなっても描けるようしっかりデッサンしておくとよいです。でもそのデッサンがまた難しい。
多少の形の狂いはあまり気にせずのびのび描くとかえって人物らしくなるように思います。
と言いながらもついつい形の狂いを指摘してしまって、言わない方がよかったかな〜と
反省してしまいます。完成作品を見るのが楽しみです。
午後から六本木の国立新美術館にアボリジニの天才画家「エミリー・ウングワレー展」を
見に行きました。80歳を過ぎてキャンバスに絵を描き始めて亡くなる8年ほどのあいだに
3千とも4千とも言われる作品を残しています。描くものがはっきりあって、ただもくもくとそれを描いているという感じでとても自然に受け入れられました。
その後六本木ヒルズの森美術館で「ターナー賞の歩み展」を見ました。
ターナー賞は英国の現代美術のもっとも権威ある賞で、その賞を取った作品を紹介しています。ターナー賞というから絵画展かと思ってしまいますが、そこは現代美術の世界です。
現代彫刻やインスタレーション、映像、写真、絵画などその時代のもっとも先端を行く
美術作品がならんでいるので、ふだん絵画展しか見ない方には、狐につままれたような
気分になるかもしれませんがこれもまた楽しいものです。これは何を表現しているのだろう
とか考えだすと訳がわからなくなるので、僕はこの作家がこの作品を作っている姿を想像
してみます。それはとてつもなく地味な作業をひたすらつづけていたりすることが多くて、
こんなことを自分でお金を出して、ひたすらまじめに、見返りの保証もなく続けている作家
を想像すると楽しく、またいとおしくなるのです。こんな現代美術の展覧会もたまには楽しいですよ。