アトリエ蒼通信363 2013年11月12日(火) |
教室ではなるべく一人づつに違うモチーフを組むようにしています。初心者の方は僕がモチーフを並べてほぼその通り描くことが多いのですが、ある程度経験を積んでくるとあえてモチーフを組まないで、素材だけを渡して好きなようにモチーフをセットしてもらうようにしています。人それぞれ好きなモチーフがあったり気に入った並べ方があるものです。その並べ方で描かれる絵もずいぶん変わってきますので、自分なりにいろいろ並べてみることはとても大切なことだと思っています。
物を並べたり置いたりする行為というのは普段の生活の中でもやっています。例えば料理を並べる。本を並べる。食器棚の食器を飾る。棚に小物を並べる。家具を並べる。庭に植木鉢を並べる。花を飾る。などどれもただむやみに並べるだけではなく、機能的で美しい並べ方を自然に工夫しています。絵の場合はただ並べるだけではなくそれを四角い画面に描くので枠の中に美しく納まる並べ方を工夫します。そしてそのとき一番注意すると美しく見えるのは余白の形だと僕は思っています。余白の多い少ないで絵の持つ意味も変わってきますし、余白の形が美しいと物がとても美しく見えると思うのです。家にあるモチーフになりそうなものを適当に集めてそんなことを考えながらものを並べてみるのもけっこう楽しいですよ。うまくいったら簡単にスケッチしたり写真に撮っておいたりすると作品の構想が広がります。
今日の作品。

秋の実りを並べて少し上から見て描いた油絵です。並べ方にも渦巻きのような自然な動きがあって余白のバランスも美しいです。