アトリエ蒼通信288 2012年10月9日(火) |
デッサンをしていて鉛筆の話になりました。最近の子供達は鉛筆をカッターやナイフで削ることが少なくなりましたが、僕ら以上の年代では小学校でまず鉛筆をナイフで削る練習をしたように思います。たいてい、肥後守(ひごのかみ)といわれる折りたたみ式のナイフなどで鉛筆を削りましたが、小学校の途中から、手動の鉛筆削りや、電動の鉛筆削りがどこの家庭や学校にも置かれるようになったので、鉛筆をナイフで削ることがなくなりました。しかし、絵を描いている僕たちは美大受験のためにも、何種類もの硬さの鉛筆をナイフやカッターで削る必要があり、それが日課になりました。デッサンやクロッキーをするときはなるべく鉛筆削りではなく、ナイフやカッターで少し細めに削って、使いやすい鉛筆をつくるのも大切なことです。高校の美術の講師をしている僕の友人の話では、今の高校生は鉛筆をカッターで削ったことがないので、授業で鉛筆の削り方教えるそうです。それが以外と生徒達には好評で新鮮な驚きがあるみたいです。料理人が包丁を研いだり、大工がカンナやノミを研いだりするのと同じように、絵を描く人は鉛筆をナイフで削ってみるのも、仕事の前の精神統一みたいなところがあってとても大切なことのように思うのです。

今日の作品。
以前描いたモチーフをもう一度今の技法で描き直された作品です。

