東京の古墳。 |
場所は府中市。甲州街道ぞいにある不思議な石の建築です。

実はこの建物、武蔵府中熊野神社古墳というそうです。
7世紀中頃の飛鳥時代の上円下方墳です。日本最大最古のもので建造当時に近い形で復元されています。
被葬者はおそらく当時の武蔵の国の最有力者であったと考えられているそうです。
それにしても美しい形です。どこか地上に降り立った円盤のようにも見えます。
また、秘密の要塞のようにも、現代建築や現代美術の作品のようにもみえる造形です。

僕の生まれ育った奈良にはあちこちに古墳があって、堀も含めて奈良独特の風景をつくっています。
高松塚古墳やキトラ古墳など発掘されて貴重な美術品が発見されるものもありますが、たいていは宮内庁の管轄で木々に覆われたこんもりとした山です。
子供の頃はこんもりした山はみんな、あれは古墳ではないかと子供たち同士で噂していました。
奈良というと、最近お寺や仏像が人気ですが、古墳や神社にも見るべきものがたくさんあります。
最近、卑弥呼の墓ではないかといわれている桜井市の箸墓古墳なども行ってみたいひとつです。
箸墓古墳は巫女的な性格を持った倭迹迹日百襲媛(ヤマトトトヒモモソヒメ)のお墓。
この姫は三輪山の神(大物主)と結婚するが、夫の神が夜に通ってくるだけで、その顔を見ることができないと不満を持ち、ある夜、ぜひお顔を見たいと言います。すると神は「朝になったら汝の櫛箱に入っているが、姿を見ても決して驚いてはならない」と告げます。
翌朝、姫が櫛箱を開けたら、中に小さな蛇が入っていて、姫は驚いて叫んでしまいます。
蛇の形をした神はたちまち人間の姿になって恥をかかされたことに怒り、空を飛んで三輪山に帰ってしまいます。姫が悔いて座ると、その女陰に箸が突き刺さって死んでしまいます。
それが箸墓古墳という名前の由来だそうです。
昔この話を聞いて印象に残っていた姫こそが、卑弥呼ではないかということなのですが、古代史ファンならずとも興味をそそります。
僕自身、古代史にくわしいわけでも、古墳マニアでもないのですが、仏教が伝わる前の神話には日本独特のものの考え方や美意識があるように感じて興味深いです。
府中市の熊野神社古墳は甲州街道を国立から府中に行く左側にあります。