パレット通信 31 2010年5月19日(水) |
奈良盆地の真ん中あたりに大和三山という三つのこんもりとした山があります。
耳成山(みみなしやま)畝傍山(うねびやま)香具山(かぐやま)がその名前。香具山以外は読み方も難しいです。
三つの山の真ん中に藤原京跡があってその北側に僕の通っていた高校があります。
藤原京跡といってもただの田んぼや畑でなにもないのですが、高校の美術教室から南を見ると藤原京跡の後ろに天香具山がこんもりあって、吉野や明日香方面の山々が連なってみえるのんびりした風景です。
春の穏やかな日には住んでいた今井町から飛鳥川沿いにそって歩き藤原京跡の端を通って香具山までのんびり散歩することがありました。有名なお寺や神社があるわけではないのですが、何も無さがとても奈良らしいのです。たぶん観光案内には載っていませんので、コースは自分で見つけてください。藤原京跡
自分の好きな風景というのはひとそれぞれ違います。
有名なお寺や観光地が好きな人もいるし、花が満開で華やかな時期の寺も人気があります。
人はそれぞれ美しさの基準をはかる物差しを持っていて、そのものさしはわがままで自分勝手なものです。絵に描きたいと思う景色もひとそれぞれ。だれも気にとめないその辺の景色や畑だって独自の美意識さえあれば十分おもしろい絵にすることができるように思います。
今日は近くの公民館のパレットの会があり、講評会がありました。
そんな中で教室のモチーフ以外に自分でスケッチにでかけて描いてきた絵が数点あって、その風景の選び方がどれもとてもユニークでした。与えられたモチーフではなく自分で探した風景というのはその方の美意識や絵に対する考え方までが伝わってくるようでした。