小野竹喬展 国立近代美術館 |
竹橋の国立近代美術館で開催されている生誕120年小野竹喬展を見にいきました。
小野竹喬は明治,大正、昭和を通して日本画の新しい表現を模索した作家です。初期の作品は南画的な風景画が多いのですが、歳をとるほどにシンプルでおおらかな表現になっていきます。素朴でどこにでもあるような風景なのですが、彼独特の視線と色彩を持っていてどの時代の作品も個性的であるように思いました。特に70歳を超えたあたりからがほんとに自由で自然な表現になっていて、絵描きは長生きするものだな〜とつくづく感じました。初期の大作の中に「波切村」という題名の大作の屏風があるのですが、この波切(なきり)という場所は僕が高校のとき毎年美術部の夏合宿で行っていた伊勢の漁港です。明治の風景とはすっかり変わって大王崎灯台も建っているのですがなんとなく地形や雰囲気は同じで懐かしい気持ちになりました。波切はそのころから多くの画家が絵にしてきた場所なんですね。
どこか懐かしい穏やかな気持ちにさせてくれる作品展でした。ぜひおすすめします。
写真は晩年の奥の細道句抄絵 田一枚植えて立ち去るやなぎかな

小野竹喬展は4月11日まで、竹橋の国立近代美術館で開催しています。