2017年 02月 28日
アトリエ蒼通信566 |
2月も今日で終わり。早過ぎます。
今日は新所沢のアトリエ蒼、今月最後の第4火曜日なので生徒さんも多い。
教室では倉庫にあるモチーフや僕が買ってきた花や果物などを並べて静物を描きます。初心者のかたには僕が選んで並べていますが、ある程度慣れてきたり長くやっている方にはなるべく自分でモチーフを選んで並べてもらうようにしています。あるいは自分の描きたい物を自分で持って来てくれる方も居ます。静物だけでなく風景を描きたい時は実際に行って撮ってきた写真を元に描く場合も多くあります。写真を見て絵を描くことは決して悪いことではないと思いますし、実際僕も写真を元に絵を描いています。しかしたんなるスナップ写真を6号くらいの絵にするにはそれなりの工夫がいると思います。素人の撮った写真を6号サイズに引き延ばしてみるとよくわかるとおもいますが、写真としてはものたりないものになってしまうことがほとんどだし、色やピントや構図もプロの撮った写真とは比べ物になりません。そこで写真を見て絵を描くときは、写真を一度描くべき6号の画角サイズにトリミングしてどのような構図にするのか検討します。そのとき地平線の位置や空の広さ、左右の切り方を検討します。そしてそのまま写真を見て描くのではなく一度紙にデッサンして見ることを勧めます。紙に描けば形もよく見ることになり、構図やそれぞれの大きさや配分も変わってきます。特に広角で撮った写真などは左右がゆがんだり、遠くの物が小さくなったりして、現場で自分が見た印象とずいぶん違ってくるからです。デッサンをするうちに自分の描きたいものやねらいが整理されてきます。そして紙の上で良い構図ができなければ水彩や油絵にしても良くなるはずがありません。また写真を見て描く場合は色彩についてはなるべく自由に考えた方がよいでしょう。写真と同じ色を作ってただ描いているだけでは写真を越えることはできません。写真は露出があったものはそのものの色を出しますがそれ以外は明るくなったり暗くなったりしていまいます。夕焼けの風景を写真で撮ると実際手前にあるものや建物は真っ黒に写ってしまうのがひとつの例です。実際は人の目には手前のものも意外と明るく見えているのです。写真を見て描くには、まず良い写真を撮ることも大切です。同じ場所でも構図や目線を変えて撮ってみたり、広角や望遠で撮ったり、露出を変えたり、画面が続く左右も撮っておいてもよいと思います。写真を越える絵を描くにはそれなりの工夫や努力が必要だと僕は思っています。
by mitsuo_ishimoto
| 2017-02-28 21:47
| アトリエ蒼通信
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